エンジンをかけようとした際に「カチカチ」と音がするだけで始動しなかったり、いつもと違う異音が聞こえたりする場合、セルモーター(スターター)に不具合が生じている可能性があります。
セルモーターは、バッテリーに蓄えられた電気を動力としてエンジンを始動させるパーツです。セルモーターが故障すると、外出先で立ち往生してしまうリスクもあります。
本記事では、セルモーター故障の前兆や症状、故障の原因や対処法、修理費用の相場などについて、詳しく解説します。

【この記事で分かること】
・セルモーターが故障する前兆と実際に故障したときの症状
・セルモーターが故障する原因と対処法
・セルモーターの修理にかかる費用相場
セルモーターが故障する前兆とは?

ガソリン車のエンジンを始動させる際に、エンジンルームから「キュルキュル〜ブン」と音が鳴りますが、これがセルモーターの回転音です。
セルモーターが故障する前は、始動時の音や挙動に明らかな変化が表れることが多いです。普段とは異なる違和感を察知することで、外出先での立ち往生を未然に防げるでしょう。
ここからは、セルモーターの故障の初期段階でよく見られる前兆を紹介します。
エンジン始動時の異音や作動音の変化
セルモーター故障の前兆は、まず始動時の音に現れます。
通常は勢いよく鳴る「キュルキュル」という音が、弱々しくなったり、リズムが不規則だったり、途中で音が途切れたりする場合、内部の接触不良や劣化が考えられます。
また、キーを回した際に「シュイーン」や「ギューン」といった、普段とは異なる高い音が混じるのも故障の兆候です。内部部品やベアリングに問題が生じている可能性を否定できません。
さらに、「ギャー」「ガリガリ」「ギギギ」といった擦れるような音がする場合にも注意が必要です。これらの異音は、セルモーターのピニオンギアとエンジン側のリングギアがうまく噛み合っておらず、パーツ同士が摩耗しているときに発生します。
噛み合わせが不適切な状態を放置すると、エンジン側のリングギアまで破損させ、修理費用が高額になるケースもあります。異音は故障を防ぐための重要なサインなので、音の変化があれば早めに対応しましょう。
エンジンの始動に時間がかかる・勢いがない
エンジンがかかりにくくなる現象は、出力不足などのサインです。
バッテリーが正常であるにもかかわらず、始動までに時間がかかったり、何度もキーを回したりする必要がある場合はご注意ください。
特にキーを回した際に「カチッ」というスイッチ音だけでモーターが回らない状態は、スタータースイッチの故障が疑われます。何度か試すうちに始動できることもありますが、それはあくまで一時的な状態に過ぎません。
症状が進行すると、最終的には反応しなくなるため、エンジン始動に時間がかかる場合は早めにプロへ相談しましょう。
セルモーターが故障したときの症状

セルモーターが実際に故障すると、走行不能に直結する症状が現れます。これらの症状は、バッテリーや配線など周辺部品の不具合と似ているため、音や反応の出方から原因を切り分けることが重要です。
なかには寿命による動作不良だけでなく、異臭や発煙をともなうケースもあり、放置すると車両全体へのダメージにもつながります。
まずはご自身の車にどのような変化が起きているのか、落ち着いて観察してみましょう。
エンジンがかからない
キーやスタートボタンを操作してもセルモーターがまったく反応せず、エンジンもかからない場合は、セルモーター本体の故障が疑われます。たとえ電源が正常でも、セルモーターが回らなければ始動できません。
ただし、エンジンがかからない原因として、リレー不良や電源系統のトラブルが発生しているケースも存在します。まずはバッテリーや電装系の点灯状況を確認したうえで、セルモーターの不具合の可能性を考えましょう。
何度操作しても動作しない場合は、セルモーター本体の寿命、あるいは物理的な故障の可能性が高いです。
エンジン始動後に異音がする
エンジンがかかった後も「ギャーッ」や「キュルキュル」といった異音が続く場合、セルモーターの故障が疑われます。
エンジンがかかった直後に切り離されるべきピニオンギアが、フライホイールから分離できず、異音をともないながら回り続けている状態です。
このまま放置すると、キーを戻してもモーターの回転が止まらず、フライホイール側にまでダメージが及ぶおそれがあります。
発煙や焦げ臭いにおいの発生
エンジン始動時や無理に動かそうとした際に、エンジンルームから煙や焦げ臭いにおいが出ることがあります。これは内部でのショートや、過度な負荷による配線・コイルの焼損が主な原因です。
無理に始動を試み続けると、加熱が進行して車両火災につながる危険性があります。焦げたにおいや煙を確認した場合は、ただちに操作を止めて点検を依頼してください。
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セルモーターが故障する原因
セルモーターの故障の主な原因としては、次の4つが挙げられます。
- セルモーター本体の経年劣化・内部部品の摩耗
- バッテリーの劣化・電圧不足
- スターターリレー・電装系部品の不具合
- アイドリングストップの多用
無駄な部品交換や修理費用を防ぐには、原因を正しく切り分けることが重要です。
セルモーター本体の経年劣化・内部部品の摩耗
セルモーター内部には「ブラシ」などの消耗部品があり、長年の使用で摩耗や劣化が進行します。劣化が進むと、キーを回してもセルが回らない、回転が弱い、たまにしか始動しないといった症状が出やすくなります。
セルモーターは、およそ10万〜15万kmの走行、もしくは10〜15年の経過で寿命を迎えるのが一般的です。セルを叩くとエンジンがかかることもありますが、内部接触が一時的に回復しているだけで、不具合が直ったわけではありません。
バッテリーの劣化・電圧不足
バッテリーが劣化すると、セルモーターを回すための電力を十分に供給できなくなります。ヘッドライトが点灯するのにエンジンがかからない場合、始動に必要な電力が不足しているケースが多いです。
バッテリーの劣化や電圧不足は、セルモーター自体の故障と誤認されやすいです。しかし、実際にはバッテリー交換だけで改善するケースもあるため、まずは電圧を測定してみましょう。
スターターリレー・電装系部品の不具合
セルモーター本体に異常がなくても、スターターリレーやスイッチ系統が故障していると始動しません。特にスターターリレーは内部接点が摩耗・劣化しやすく、劣化が進むとモーターに十分な電流が流れなくなります。
また、ヒューズの断線やスマートキーの電池切れ、プッシュスタートボタン自体の接触不良が原因で、信号がセルまで届かないケースもあります。「カチッ」と音がしてもエンジンが回らない場合、電装系の点検が必要です。
エンジンの故障については、以下の記事で詳しく解説しています。

アイドリングストップの多用
アイドリングストップの多用は、セルモーターの寿命を早める一因となります。
アイドリングストップは停車時にエンジンを停止し、発進時に再始動させて燃費を向上させる仕組みです。一方で、停止と始動を繰り返すたびにセルモーターが稼働するため、セルモーターが摩耗しやすくなります。
メーカー側も耐久性を高めた専用のスターターを搭載していますが、摩耗をゼロにすることはできません。特に信号待ちや渋滞が多い市街地を走行する場合、摩耗が進みやすく、交換頻度が高まるリスクがあります。
セルモーターが故障したときの対処法

セルモーターの不具合はバッテリー上がりと症状が似ています。無理なエンジン始動は故障の悪化や二次トラブルにつながるため、状況に応じて早めにロードサービスや整備工場へ修理を依頼しましょう。
焦って何度もキーを回し続けると、バッテリーを放電させたり、配線を焼き切ったりする二次被害を招くおそれもあります。まずは周囲の安全を確保したうえで、考えられる原因を一つずつ確認しましょう。
セルモーター以外の要因がないか再確認する
エンジンがかからない場合でも、必ずしもセルモーター本体の故障とは限りません。まずは次のような基本項目を確認しましょう。
- バッテリー上がり
- シフトレバーの位置
- ハンドルロックの作動
- 燃料切れ(ガス欠)
AT車では、シフトが「P」や「N」以外に入っていると安全装置が働き、セルモーターは作動しません。また、ハンドルロックがかかっている場合はキーが回らず、エンジンも始動できません。
意外と多いのが、ブレーキペダルの踏み込み不足です。近年のプッシュスタート車は、ブレーキをしっかり踏み込まないと始動しない設計が一般的です。
さらに、ヘッドライトや室内灯が正常に点灯するかを確認すれば、バッテリー電圧の目安になります。ライトが極端に暗い、または点灯しない場合は、バッテリー上がりの可能性が高いでしょう。
これらを確認せずに修理を依頼すると、不要な出費につながることもあります。落ち着いて順番にチェックすることが重要です。
セルモーターを軽く叩く

内部の接触不良が原因の場合、エンジン始動前にセルモーターを工具などで軽く叩くと一時的に作動するケースがあります。衝撃を加えることで、摩耗したブラシなどの接点が一時的に触れ合い、電気が流れてエンジンが始動するのです。
セルモーターは一般的にボンネット内のエンジン本体とトランスミッションの間付近にあります。叩く際は軽く衝撃を与える程度の強さで行ってください。強く叩くと破損の恐れがあるため避けましょう。
ただし、この方法はあくまで応急処置であり、根本的な解決にはなりません。一度叩いて始動できたとしても、速やかに整備工場へ持ち込み、点検や修理を行う必要があります。
ロードサービスや整備工場に依頼する
ジャンプスタートや基本確認を行っても改善しない場合は、セルモーター本体の故障が疑われます。無理に始動を繰り返すと、バッテリーや配線、関連部品まで傷める可能性があります。
自力での復旧が難しい状況に陥ったら、JAFや自動車保険に付帯するロードサービスを活用し、現場での点検やレッカー移動を依頼しましょう。
専門業者による診断を受け、適切に修理や交換を行うことで、故障による被害を最小限に抑えられます。
セルモーター故障の修理費用の相場
セルモーターの修理や交換が必要になった際、気になるのが費用の相場です。依頼先や使用する部品の選択によって、最終的な金額は変動します。
また、故障の診断にかかる点検料や、自走できない場合のレッカー代が別途必要になる点も考慮しましょう。
古い車の場合、修理後に別の箇所が故障するリスクもあるため、修理代だけでなく、今後の維持費も含めた総合的な判断が求められます。
修理の依頼先別の特徴
セルモーターの修理を依頼する業者は、予算や緊急性に合わせて選びましょう。
業者ごとの特徴は、以下の表のとおりです。
| 依頼先 | 特徴 |
|---|---|
| 整備工場 | ・工賃が比較的安い ・部品の選択の幅が広い |
| カー用品店 | ・全国一律の明朗会計で安心 ・部品の選択の幅が広い |
| ディーラー | ・純正新品を使用し保証もある ・費用は高い傾向 |
| 出張整備サービス | ・持ち込む必要がない ・費用が高い傾向 |
ディーラーによる修理は安心感がある一方で、純正新品を使用するため総額は高くなります。安さを優先するなら、工賃が抑えられ部品の相談にも乗ってくれる整備工場がおすすめです。民間工場では、品質の良い再生品であるリビルト品を積極的に提案してくれることが多く、コストを抑えられるメリットがあります。
また、持ち込み修理が可能かどうかや、代車の有無なども事前に確認しておきましょう。
修理費用の相場
セルモーターの修理費用相場は、一般的に2万〜7万円程度です。交換部品の代金とは別に、1万〜2万円程度の作業工賃が発生します。
| 交換部品 | 費用相場 | 特徴 |
|---|---|---|
| 純正新品 | 30,000円〜50,000円 | ・メーカー正規部品 ・長期保証があり信頼性が高い |
| リビルト品 | 10,000円〜20,000円 | ・分解洗浄・検査済みの再生品 ・保証付きでコスパが良い |
| 中古品 | 3,000円〜7,000円 | ・廃車からの取り出し品 ・保証はないが価格は最も安い |
長く乗り続けるなら新品、バランス重視ならリビルト品がおすすめです。中古品は耐久性にばらつきがあるため、短期間しか利用しない場合や、買い替え予定がある場合に検討しましょう。
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まとめ
セルモーターが故障すると、エンジンがかかりにくくなったり、外出先でまったく始動しなくなったりします。「いつもと音が違う」といった故障の前兆に早めに気づき、点検を行うことで、重大なトラブルを未然に防げるでしょう。
ただし、セルモーターの交換は、車種や部品の選択によっては予想以上に高額な修理費がかかるケースも少なくありません。特に年式の古い車や過走行車の場合、修理してもほかの箇所が故障するリスクもあります。
修理費用が車両価値に見合わないと感じたなら、修理して乗り続ける以外の選択肢を検討する時期かもしれません。
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